コラム
坊さんの事故

私の工場で自動車保険にはいっていただいているお 坊さんがいる。坊さんなら徳をつんでいるし普通の人より随分仏様に近いのだからきっと仏様のご加護があって事故などに巻き込まれることもないだろう―――――

したがって保険などは不要ではないかと考えるのは普通かもしれない。(ちなみに坊さんを相手に損害賠償とか過失割合など口にだそうものなら子や孫になにか不具合が発生したら大変だから何も言うまいと思うのは私だけかな)

しかしある日、そのお坊さんもだいぶ前だが運転を誤って事故ってしまった。この坊さんは日本西地区ではかなり位が高いらしく、四国、九州や京都などいつも講演などで忙しく飛び回っている。

だから相当な法力をお持ちだろうと思われるがそんな高貴な坊さんが事故ったものだから私もすこし皮肉っぽく「何で坊さんが事故るんですか?般若湯(おみき)の飲みすぎですか?」

と言ったら彼は私をじろっと見て「坊さんも人間じゃからのう」といってかんらかんらと笑った。そして「それよりあんた、顔色が悪いが大丈夫か?、、、そうか仕事のしすぎで死にそうか。まあ、死んだらわしがええところへ連れていってやるから心配するな」と言ってにやっとしていた。

このようなかなり偉い坊さんでも、人のことはちゃんとできるみたいだが自分のこととなると完璧には思うようには行かないみたいだ。山口県に種田山頭火という坊さんの俳人がいたが彼も酒を飲みながらあちこち徘徊しては苦しみつづけていたみたいだし、みんな、同じなのかもしれない

私が前にお世話になっていた内科のお医者さんはいただきものの高級酒の飲みすぎで肝臓をこわしたのか、顔が真っ黒になってしまって引退してしまった。人が生きるということは戦うということかもしれない。相手は、他人であったり仕事であったり、自分自身であったりする

なんにしろ坊さんでも自分自身は制御しにくいみたいだから平民で不徳のかたまりみたいな、わたしなど毎日トラブルの連続であたりまえかもしれない。備えあれば憂いなしというからとりあえず保険は整備しておこう
(保険をかけるという事は、すべてに対してスペアーまがいを用意するということだ。)


Copyright (C) 2001 : sanko jidousya co.,ltd All Rights Reserved.