コラム
3.整備工場の変身

今頃、各社損保がサ−ビス合戦で車のトラブルなどにすぐに現場に掛けつけますなどと言っているのだが。これはよく考えて見ればわかることなのだが、大都会ならまだしも十万や二十万人位の街で損保が提携できるレッカ−業者やレスキュ−隊などはそんなに沢山いるわけではないのです。なのに各社一斉にこのサ−ビスを打ち出したものだから(ロードサービスは外国保険の一部がしていないだけで国内損保はほぼ全社がやっている)、業者は引く手あまたになってしまった。

もともと、業者は昔から自分とこのお客様を管理、営業していたのに、急きょ各損保などの指定になってしまったために、大雪とか、大雨、真夏日などの天候異常にはクレームコールが多発して、お客様がパニック状態になることになってしまった。しかし呼んでも待っても業者に来てもらえないお客様は仕方がないので自宅近くの修理工場を呼ぶことになったのです。

そんな事が繰返されるうちに、工場は「いつでも、どこでも救援活動をいたします。」をうたい文句に目立つ車などを装備し宣伝するものさえ現れ出した。よくしたもので、お客様のほうもそれを当てにしたり、信頼する人も出現したのです。おたがいに利害関係が一致しました。そしてそれは3年もたてばすっかり定着した。だからそのサービスは広がりを見せ始めたのです。「ついでだから車の保険もやってくれないか?」という需要が発生した。信頼を得ている工場は多くのお客様の希望で保険の代理業に力を入れ出した。今では工場の方は経営的に、お客様の方はカーライフのバックアップとして強い関係が構築され、定着してしまったのです。それはしごく当然かもしれない。中古車は安く売ってくれるし、エンジンが壊れたらすぐに修理してくれるし、へこんだら直してくれるし、事故ったら解決努力もやってくれるというオールマイティーなのだから。

工場としては交通事故の仲立ちなどは本当はしたくはなかった。しかし信頼されたり、期待されたりしているそのなかに事業の安定を見出したのだ。こうなってしまうと、副業のひとつだった保険代理業にすこしずつ重心をかたむけるようになっていったのも仕方がない。だからお客様に積極的に自動車保険を売り出したのです。勉強もしました。保険の入り方として最もポヒュラ−なのは車を買ったところで入るというものです。当然の流れとして皆が昔から普通にそうしていた。

しかし1997年ぐらいからお客様も考えるようになってきた。掛け捨ての割には保険料が高すぎると思う、特に車両保険が。車の保険だから事故以外に、故障なんかもみてくれてもいいんじゃないか。実際は事故より故障のほうがずっと多いんだから。百パ−セント被害者の立場でも相談にのってくれないかなーー。

一方、最近事故した人の話はこうだった。「そりや−すぐ現場にきてくれたのが嬉しかった。」自分の車の修理代のことだが過失割合分は自腹になるけどそれを値引きしてくれたのがこの不景気な時期としては大変助かった。事故直後からレンタカ−の手配、事故車の修理の手配など最後まで全部やってくれたので、終始安心していることができた。
よく考えた人は保障内容の充実のために保険料が高騰してしまい、又考えだした。そこで考え付いたのがサ−ビスがよくて価格の安い外国の会社だった。サ−ビスはついているに越したことはないが、全く不必要と思われるサ−ビスは削ってその分安くしてもらいたいのが本心だ。しかしこれらの会社は宣伝はよくやっているが市内に営業所がないようだし、近くに相談できる担当者もいないようなので、とりあえずパスするのが賢明と考える人がいた。いまの我々に必要なことは市内に保険会社の営業所があり営業マンだけじゃなく、親身になってやってくれる事故の担当者がいることである。

「車の保険に入るのならプロの代理店がいいかなって思ったがこれは専門店だから信頼はできるが工場もレッカ−も持っていないので、小回りの効くサービスは全然期待で出来ないなと思った。車のことで世話になっているいつものモータ−スはどうだろうか?あのおやじはとても気さくだし、あそこなら事故ってもすぐ来てくれそうだし、レッカ−車もある。車のトラブルだって直ぐに治してくれるしあの修理工場には毎日、加害者や被害者の車が沢山入ってきているみたいだから、当然、朝から晩まで事故の話ばかりしていることだろう。もう長く営業しているから示談などについてはかなり詳しいに違いない。あのおやじを味方につけておいたほうがこの先何かと便利だ。それに車検も値切りやすいし、車を買うときにも都合が良いやっぱり何かあったらすぐに相談にいけるいつものあそこがいちばんいいかもしれない。」・・・こう考える人が段々増えてきたのも時代の流れで、これは普通かもしれない。

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