コラム

49      出そうで出ない車の保険

平成24年10月車の車両保険が又少し変わった。30年も前から会う人ごとに訴えていた事が少しでは有るが私の希望に近づいた。

面白い部分から話そう。車が台風に遭ったりして大破した時。今まで等級はダウンせずに修理がされていた。私はこれを車両価格の50パーセントまでは1等級ダウン、70パーセントまでは2等級ダウン、全損は3等級ダウンしろと言ってきた。全然聞いてもらえず30年たった。

次は車の盗難についてだが夏の暑い日などは黒い車などはエンジンを掛けたままスーパーの駐車場に置いてある事が多い。買い物から帰ったら室内が冷えるまで黒い車は時間がかかるのでわざわざそうしているのであろうが、概してエンジンのかけっぱなしは高級車が多いと思う。

高級車に乗っている人たちはガソリン代も税金も車検も殆どの経費を会社などの他人が払ってくれている場合が多いと聞く。だから大型の乗用車なんかエンジンをかけっぱなしでもいくら燃費が悪くても痛くもかゆくもないので、そうしているのであろうがエンジンをかけっぱなしと言う事はキーも付けたままだと言うことだ。まるで「どうぞ盗んでください」と言わんばかりだ。

そしてそういう車に限って保険金の設定が市場価格よりかなり高く設定してあるので万一(この確率は万一どころか千一位の確立かもしれない)盗まれたら前より上のクラスの車が買えると言う馬鹿げた法規になっているのだ。そしてそれも等級ダウンはしない。

そしておかしなことに古い軽4輪車に乗っている人ほどガソリンがもったいないからと鍵やガラスをきちんと閉めている。古い車ほど保温性が悪いので車内の暑さも半端ではない。私は言ってきた。ちゃんと鍵を掛けていたのに盗まれたのなら1等級ダウンで仕方がないが、キーをつけっぱなしで盗まれたのなら5等級ダウンしろと。キーを付けたままで盗まれたのならこれは事故ではなく故意であると考えるからだ。

そしてそれがスーパーの駐車場や駅前等の人の多い場所だった場合は盗まれても一円も払われない無責にしろと。これも30年間無視され続けた。石が飛んできてフロントガラスが割れたら仕方がない。こどものいたずらで石ころで車の全体にらくがきをされたというのがよくあるがこれも仕方がないと思う。

問題はパチンコ屋の駐車場に置いておいたら全体を釘のようなもので傷をつけられたと言うのが有るがパチンコに負けた人がやったのだろうが普通の場合なら右側だけとか、または左側だけとかに成るはずと考えるのが一般の人だろうが時には全体をやられたと言う人が来る。それもご丁寧に屋根までやられているのだ。

傷の付き方になにか違和感を覚えるのは私だけではないらしく保険会社の鑑定人もにが虫を噛み潰したような不愉快な顔をして写真を撮ると挨拶もそこそこに帰って行く。車に傷をつけたのは別れた元旦那がやったに違いないですとはっきり分かっている場合が有る。

しかし見ていた訳ではなく証拠がないので修理代の請求はできない。が二回も3回もやられることがあった。仕方がないのでナンバープレートを変えたり、駐車場を変えたり、3回目は車の色を塗り変えたりといろいろやった事が有った。

このときも2回目は1等級ダウン、3回目は3等級ダウン、4回目からは無責にしろと言ってきた。30年無視された。私が唱えたこれらはすべて赤字を続けているの保険会社救済の為だが、つまるところしいて言えば皆さんの保険料を下げるために考えた事だ。

しかし本来保険と言うものは万一を保証してもらうのだから多少高くても仕方がないと思うのは皆同じなのだがもともと保険が生まれたとされる昔のイギリスではインドから船で運んでくる香辛料(カレーやコーヒーやたばこなど)が船が遭難して沈没し、積み荷がパーになった時の為に保険が掛けられたのが最初のいきさつだ。

だから保険を掛ける人たちは皆船をいくらか所有していた。分かりやすく言うと保険を利用しようとする人は昔は皆大金持で有った。保険会社とお客さんとの間柄は金持ち同志だけというものだった。そうした土壌で栄えてきた保険だから金持ちの為に保険は造られてある。

みな間違っているのだがすべての保険は貧乏な人の為に存在しているのではない。貧乏な人は保険詐欺を企てるからむしろ避けて販売しろと言われた時期が有った。そういう環境で育った保険だから今でも金持ちに甘く、貧乏な人にきびしいというのは仕方のない事かも知れない。

しかし車に乗れば保険を掛けずに乗るのも危ない。しかし保険料が高すぎる。24年10月それが少しやっとのことで一部だけれど、改正された。保険料を下げるためにされたのだが実態は日本政府が消費税を上げようとしているがこれは貧乏人いじめだ。それと同様に今回の保険料の改定もひどい貧乏人いじめに改定された。確かに以前等級ダウンのなかった、台風や、車泥棒や、いたずら傷などは1等級ダウンと言う事で保険料の高騰の歯止めになった事は否めない。

しかしそれと同時に採用された事故をしたら3等級下がって保険料が上がるのは仕方がないがこのたびの改定は「事故あり等級」と言う、どこのだれが考えたのか知らないがとんでもないものがくっついて出て来た。詳しく話そう。昨年16等級だった人が事故をしなかったので今年は17等級になった。反対に前年20等級だった人が事故をして17等級に下がった。同じ17等級だから払う保険料も多分同じだろうと考えるのは普通だ。

しかし今回の改定は前年事故をした人の保険料をめちゃくちゃ高いものとした。同じ17等級なのに保険料は全然違うのだ。難しい保険料の計算式が出来た。どうしてこんなに馬鹿な事をしたのか代理店である私にも分からない。増え続ける赤字に対応するための措置だと言えば仕方ないが、ひどい貧乏人いじめで有る事は間違いない。

ひとつ例を出そう。20歳の娘が車を買った。金がないから親が保険を掛けた。娘はルンルン気分で車に乗っていたのだがある日、運転を誤って電柱に左の前後のドアをぶつけてしまった。ドアがかなりへこんだので車を買ったカーディーラーに持っていったら修理代が20万円かかるといわれた。

修理代を自腹で払うのはそれは大変だからと言う事でいつも集金に来る保険代理店のおじさんに話をしたら、「それは大変でしたねぇ。怪我はなかったですか?それではさっそく保険の手続きをしましょう」と言ったまでは良かったのだが、「ところで一応申しあげておかないといけないと思うのでお伝えしておきますが、この事故で保険を使うのは自由ですが使うと3等級下がります。そして保険料が上がるのはごぞんじですねぇ?」と言うから「知っている」と言ったら「とりあえずいくら位上がるか調べてみます」と言ってからしばらくして、「保険を使ったら23万円が3年間で上がります」という連絡が入ってきた。「来年の保険料の改定の幅が今ではまだ分からないので詳しい事は今現在では正確に言えないのですが将来の10年を考えたら30万円位上がるかもしれません」と言うので「30万円も上がるのでは20万円の修理代の為に保険を使うわけにはいかないなぁ」と言うことになり結局私の工場にお客さんは来た。

そして「ひろみさん、相談が有るのだが娘の車の車両保険は有るには有るのだが使えないので何とか安く修理する方法はないものかねぇ」といってきた。

「新車だから安くしろと言われても方法は限られているのだがわざわざ私の所に来られたのだからメーカーのディーラーよりか安くしましょうよ。メーカーより20パーセント安くしましょうかねぇ。」「20パーセント引きと言うと16万円と言うことになるなぁ」「もっと安くなる方法はないものかねぇ?」「もっと安くですかぁ?ドアを取り換えなくてはいけないと思うのですが、例えば中古のドアとか使えば12万円位までは行けますがこの車はまだ新しいですから中古のドアというのもどうでしょうねぇ?」

「中古たって別にへこんでいるわけではないのたろ?」「それはそうですが中古の場合違う色のドアが来るので塗装をしなければなりません。」「新品のドアだってどうせ塗装はするのだろ?」「それはそうですが気分が違います。中古と言うのは事故車のそれをはずしたものですから」「事故車か、うーんどうしよう?」「叩いて直すと言う方法もないわけではありませんが、後からよく見たらプロのセールスマン等にはばれてしまいます。今度下取りに出すときは事故引きされるかもわかりません」

「娘は運転が未だ下手くそだから又ぶつけるかもしれないし、その中古でいいからそれでやってくれよ」「分かりました。それでは前のドアは大きくへこんでいるので中古にさせてください。後ろのドアは傷が少ないですから叩きなおしてやりましょう。それで10万円と言うのはどうでしょうか?」「おおそれでやってくれ、10万円だな?運それで頼むよ。」「では10万円でやらせていただきますが修理ですから全部取り換えではないですから少しは痕跡が残るかもしれませんが、精いっぱい努力してみましょう」

「それで頼むよ、ところで車はいつなおる?」「新品だったら1週間ですが中古ですから10日位見てください。その間は代車を無料でお貸ししますから」「では修理が終わったら電話をくれよ」「分かりました。修理代はその時にいただきますよ」「分かったそうしよう」そいうわけで話は付いたのだがお客さんは保険に入っているのに保険が使えないというはめになってしまったことに付いて面白くなく、「来年はひろみさん、修理をあんたの所で安くやってもらうために保険はあんたの所でやってくれないかね?」

「それは構いませんが保険の使用については同じことが言えると思いますよ」「来年は安いほうの車両保険にしよう。」「安い方では電柱にぶつかったときには保険は出ませんよ」「修理代が20万円もかかるのにどうせ保険は使えないんだから安い方で十分だよ」「なるほど、では来年は安い方ででやりましょう」という経過が有って修理は済んだのだがお客さんはディーラーに車代を払ったばかりでお金がないのにすぐ又私の所に10万円払うことになってぶつぶつ言いながら帰って行った。その晩私は考えたのだが20万円の修理代が保険では30万円になる。なんとかならないかなぁと、、、、、その結果出てきたのが今度の保険の更新までに修理代を月賦で保険会社に返せば保険は使った事にならなければいいのではないかと思い付いた。

そこで翌日私の工場が提携している帝国保険の支店長を呼びつけて以上の事を話をし、もし全額払わなかったら等級を下げていいし、全部払えたら手数料を1割とか貰えば帝国保険としても全く損害はないわけだからどうだろうと持ちかけたら「ひろみさん、それは斬新なアイデアですねぇ、さっそく持ち帰って上に報告しておきます。これは行けるかもしれない。絶対儲かるシステムですからねぇ。」ということで喜んで帰って行った。

私の工場に代理店をやってくれと前からしつこく来ていた七海保険会社などにもこの話をしたら皆同様の事を云い前向きに検討する事を約束してくれた。このままで又30年待たされるのかなぁという危惧はあったが保険会社も収入保険料を減らしたくないはずだから今度は前向きに真面目に検討するかもしれないと思ったので「やってくれなかったら帝国保険の社長に直訴するぞ」と脅しておいて今回は待ってみることにした。

いつになったらやってくれるか分からないがきっといつかやるだろう。膨れ続ける赤字をいつまでも放置しておくわけにはいかないのだから。

 

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