コラム

 

 64  原因と結果

事故を起こした人と話をしていると時々思う、、、、無理をしなければ事故はおきなかったのではないか、、、、あるいはもっと注意をはらっていたら事故の発生は防げたのではないか、、、などと。

今頃お客さんと事故の発生原因についてよく話し合う事が多くなってきた。そのせいか損害保険を少し売りすぎたのかなと思ったりすることがある。

「田中さん車がへこんでいますけどどうしたんですか?」「どうしたってあんた、ぶつかったからさ」「じゃぁなく、どういうわけでぶつかったかを聞いているんですがね」「そうかね、そりゃああんたパチンコで4万やられて頭にきていたんだ。腹を立てて運転していたんだから仕方がないさ」

「まぁパチンコで4万円取られて又修理代に40万円取られたんではやり切れませんねぇ。でもねぇ怪我が無かったんだからいいけど、今度から事故はしないほうがいいですよ」

「誰が好き好んで事故などやるか!!」「あっはっは、ちがう、田中さん私が言っているのは事故というものは偶然に突然に、たまたま起きるんじゃないといっているのです」

「、、、、、、、、、」田中さんは私が何を言っているのか良く分らないらしく眼を細くしてこちらを見ている。「事故が起きる条件が整っていたら事故はいつおきてもふしぎではないのですよ。一部の事故は起きるべくして起きているんです。たまたまじゃない。」

「どういうことだ?」「この事故が起きたのは確かにパチンコで4万円取られて腹を立てていて運転が乱暴に成ったからかも知れないけど、元はといえばなぜパチンコに行ったのですか?この不景気にパチンコが出る分けないのは、あなたは行く前からわかっていたことでしょう?」

「そりゃぁ少しは分っていたさ、パチンコは再々行っているんだから。でも今朝女房に出がけにいらんことを聞かされてからずぅーっとむしゃくしゃしていたんだ。だからパチンコにでも行って気晴らしにと思ったんだ。」

「そうですか田中さん、そこからでしょう。奥さんが朝、でがけに何か言ったのには訳が有るはずです。それらのことがずぅーっとあなたの頭の中にあるのです。それが事故の原因だと思うのです。

パチンコに負けた事で事故の条件が整ったのでしょう。何の問題か知りませんが奥さんに今朝言われるまえから、昨日以前からその事で悩んでいたのではないですか?そしてパチンコに負けてから頭がパニック状態になってしまった。

精神的に余裕が無くなった所につい運転が乱暴になってしまって相手の車がよけ切れなかったということでしょうねぇ。柳に風で受け流していたら事故はなかったかも知れませんがねぇ」

「放って置けない問題があるんだ、どうしようもないのだが、、、、」「どうしようもない問題ならクヨクヨ考えても仕方がないからパチンコよりカラオケの方がよかったかもしれませんねぇ」「それはわからん」

「田中さん、海にいるナマコは敵におそわれたら胃袋を敵の目前に放り出して逃亡するそうです、似たようなのにカエルは異物を飲み込むと胃袋ごと吐き出して異物を捨ててしまうそうですよ。」「その問題からにげろということか?」

「それが出来なければこんなのがあります。アメリカザリガニはいつもは赤いけれども鯖を食わせたら青くなってしまって当分なおらない、、、、、」「おいおいわしに相手と一緒になって悩むジェスチャーをしろということか、、、、、それにしてもつまらんことばかり聞かせるなぁ?」

「とにかく今の精神状態が続けは又パチンコに負けますし、事故が起きるかもしれない」「もう事故はしないさ」「お客さんに言う言葉じゃないけれど、絶対起きないとも言えませんよ。だって条件はそろっているんですから」「おどかすなよ」

「ごめんなさい、、、今晩そこの焼き鳥屋で一杯飲んでカラオケでもやりませんか?人に話したら悩みは減るものですよ」「そうだな、そうしょう」

私は今晩.田中さんの話を2時間聞いてあげるつもりだ。そうすれば田中さんのボルテージは明日になればきっと下がっているだろう。  

次へ続く

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