コラム
7.車検 整備の変遷

車検は昔は価格が高かった。二日ぐらいかけて整備が十分にされていたからだ。運輸省の考え方として当時は予防整備を指導していた(昭和45年ころ)。少なくとも二年間はトラブルが発生しない程度には整備しろとのお達しであった。だから各整備工場は技術力を競って最低二年間は故障しないように万全を期した。しかしそれでも、当時の車はシンプルな割には、完成度が低かったのか季節が変わったら平気で故障していたのである。

現在は車も進歩したが(進歩していないのはワイパーぐらいのもの)運輸省の考え方もかなり変わってきた。現に車検証の裏にも「車検は二年間安全などを保障するものではない」などとぶっそうな事が書いてあるぐらいだからその変わり具合も大体推測できるというものだ。
途中で点検や整備をしないといけないみたいなことが書いてある。
予防整備をしなくなった工場などもせめて自分とこのなじみのお客様だけは十分に整備してあげたいのに周囲環境がそれを許さなくしつつある。
隣の工場がディスカウント車検をやりだしたら、生き残るためには従来のような濃厚サービスはもう提供していられなくなるのだ。安い、早い、信頼できる...この三つがそろうことは理想だが理想ゆえに未だにそれは、どこでも達成されていない。安い、早い...が売りの、宣伝を激しくやっている大手工場などは二三か月後にトラブルが多いと聞く。
車検をやってもらったが次の月にブレーキが効かなくなったので、他の工場で診てもらったらブレーキパッドが全然なかった....なんてのは時々耳にする話だ。
昔はめったになかったけどなあ.........

車検工賃が一台6000円の時代になりつつある。そうなると一時間ぐらいでそれをやらないといけない。昔は二日ぐらいかけてやっていたから責任のもてる整備が提供できたし、お客様が納得するまで車について話し合うことができた。ところが今はその話し合いや説明の時間ですらコストに入るからお客様と長話はできなくなりつつあるみたいだ。料金は安くしないとお客様は来てくれないが、安くすると十分にしてあげられないとのジレンマのなかで整備に対する信頼に未来はあるのだろうか。お客様も安くて信頼できるとこを探してあちこち流浪しているのが現実だが.....

整備代は本当は安くしたくないんです、理由は手抜きをしていないからです。でも仕方がないんです。お客様がそれを強く希望するんですから........

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