コラム

93 青春よいつまで

今年の夏はとても暑かったので級友にちょっと暑中見舞いを出した。私は前から助平だから(私のこの癖は家内は病気だと思っているみたいだ)女性ばかり、しかも三人だけにである。当然、昔、思い込みをしていた人たちばかりだが、今はそれなりにオバサンになってしまっている。

その中に一人結婚していないのがいるが途中で別れたのかどうかはしらない。昔はともかく大切なのは今だからだ。人生には実に色んなことがあるものだ。ハガキのすみっこに「あなたの太陽は、黄色いですか?白いですか?それとも赤いですか?」とポツンと書いておいた。

こんな気違いじみたハガキに返事が来るわけもないのでそれっきり忘れていたら、なんと三人全員から返事がきた。それもみんな同じ文面で!! “「私の太陽は今、白く光っています,,、、、、、」――――――。私はまいった。女は男より年をとらないのだ。

絶頂期だった昔のあの頃から時間が止まってしまっているらしい。私は嬉しかった。返事がきた事より、彼女たちがまだ心の中だけでも眩しいくらい、白く光っている太陽を持ち続けてくれている事にだ。

グループサウンズにザ.タイガースと言うのがいたが彼らの歌の中で「色つきの女でいてくれよ」というのがある。私は男でも女でも誰でも年をとればとるほどに、段々と身心ともに脱色してしまうものなのだと思っていたから、とても意外だった。

人間は頭に白いものがまじる頃になると何事にも計算高くなってしまい、特に人を相手に忙しく仕事ばかりしていると血液がしまいには(宇宙人みたいに)緑色になってしまうと真面目に考えたりしていた。

仕事に追いまわされてばかりいたらオカシクなってしまうことがあると言うのは本当のことなのだ。(拝金主義などその際たるものだと思うのだが)しかし彼女たちの胸の中には今でも熱い血がたぎっているみたいなのだ。

彼女たちは今頃では当たり前かもしれないが女性なのに仕事をもっている(それも主婦をしながらだ)。一人は大地主に嫁いで営農している。他の一人は高校の先生をやっているし、もう一人は独身だが金融機関で古狸になってしまっている。

うわついた考えを持っている人は一人もいない。しいて言えば私が一番軽軽しいだろう。なのに三人とも太陽は白く光っているという。そういう事は一日の時間帯で言えば、ちょうど昼頃だろうか。そうなると太陽の位置は頭の真上になる。

人生の5分の3位も消費してしまっているのに、精神的にはまだ絶頂期のあの夏の頃のままだ。これでは「色付きの女でいてくれよ」どころではなくいつまでたっても総天然色三人娘ではないか。孫がいる人もいるってのになんてこった。

青年期を少し過ぎた(?)私としては、いつまでも少年みたいではいけないかなとか思いながら、やっているのは未だに少年とほとんど変わらない。好きな事だけを延々と――

でも昔、確かにもっていた高い志はどこかに置き忘れてきたような気がする。しかし男は、女と違って現実を思い知らされる機会が多いから、仕方がないと思うのは身勝手だろうか。夢を見るのは女より男のほうが上手なはずなのに、

男はいつのまに夢を追い続けることを忘れてしまったのだろうか?それとも彼女たちが未だあきらめずに何かを待っているように見えるのはなんだろうか?

白馬にまたがってやってくる王子様か、魔法のじゅうたんに乗ってくるかもしれない、アラブの大富豪か?はたまた、ある日突然に携帯電話に入って来る電子メールか(インターネットで買った宝くじが一等当選した知らせの)。何を待っているのだろう。彼女たちにはそれがなにか見えているのだろうか?、、、、、、、、

次回のハガキで女の夢を少し聞いてみようか―――――。多分おしえてくれないだろうなぁ

男には何にでも保険が掛かっているから待つものは少ない。事故が起きないように祈るだけだ。

 

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