95 小切手でお釣りをくれ？

ちょっと古い話で恐縮だが私の八方破れ人生を知ってもらうのに必要（？）。「ヒロミさんとこは奥さんでもっている、、、、、、、」取引している業者がときどき冗談に言う。

はがゆいと思うけど本当だから仕方がないので「もっと他に言い方はないのかね」とか言って笑う。思えばだいぶ前、三晃自動車を開店して半年、友人が信用金庫の支店長に顔がきいていたので、

２万円の出資金を払って当座預金を開設し手形と小切手の帳面を手に入れた。開店以来、支払いは全部現金でやってきたが、さあ大変だ。

この小切手というものは現金を払わなくても領収書をもらえるというすぐれもの。打ち出の小槌みたいなものだ。なんと役に立つ帳面ではないか。小切手は特に良い、みんな喜んで受け取ってくれる。

でもその時の私には銀行に預金残がなくなったらどうなるか、、、、、、など考えもしなかったのだ。月末にもなるとドンドンバンバンと切ってしまった。現金がいらないのだから、当然日銭は余る。

だから暗くなったら街の方へ飲みに行きだした。まもなくである。信用金庫の女の子から「ヒロミさん山口商事から小切手が回ってきましたが、残がないのですぐに30万円持ってきてください」とのTELがかかってきた。

いきなりそんなことを言われてもお客さんから貰った金は殆んど夜の街に遊びに行って使ってしまっているので、はした金しか残っていない。どうしょうもない。放っておいたら昼過ぎの二時頃信金の支店長が又、ＴＥＬしてきて「ヒロミさん3時までに入金してくれないと不渡りになってしまいますよ。何とかしてください！“」と強い口調で言うではないか。

私は「あの――――」と絶句したままだった。とうとう3時になり４時になり夕方になった。私はどうしようもなかった。金はないし、かといってすぐに30万円貸してくれる人もいないし、夜になってしまったが仕事が、たまっていたので小切手の事など、きれいに忘れて仕事をしていた。

そして夜になって、又小切手のことを思い出したので夜中に親父のとこへＴＥＬした。「そういうわけで明日の朝までに30万円いるんだ。なんとかしてくれ」「何とかしてくれってお前、この時間じゃどうにもならんから朝になったら農協に行ってみるから朝まで待て」と言う。その日は飲みに行かなかった。

小切手が銀行で不渡りになったらどうなるんだろう、、、などと考えたら怖くなったのである。よくテレビドラマなんかで夜中に、ちいさいトラックで夜逃げをするシーンを見ることがある。

俺も明日、ああなるのかなーなどと思いながら「えい！！クヨクヨしても仕方がない。信金はヤクザじゃないからまさか殺しに来たりしないだろう」などと思ったら楽になった。

すぐに一升ビンを持ち出して一杯飲んだら、連日遅くまで仕事をしていたのがきいたのか、すぐに寝てしまった。翌朝十時に親父からTELがあり「今から30万持って行くから銀行にそういうとけ」と言っていた。

それから30分もしないうちに信金の支店長がやってきて少し怒ったような顔で「ヒロミさん今回は私が何とかしておきましたが今度からは預金残を確かめてから発行してくださいよ、、、、」といって帰っていった。

私は胸をなでおろし、良かった良かったと一人で喜んでいた。そしてその後は私はむやみやたらに小切手を乱発するのは止めた。小切手の不渡りは大変めんどくさいのである。夜もオチオチ寝ていられない位なのだ

（本当はイビキをかいて朝まで良く寝ていたが）そこで私は考えた。小切手だからすぐに不渡りになるのだ。そうだ！もう一冊手形の帳面があったよなー。あれにしょう。あれなら3ヶ月先にならないと不渡りにならない。これに限る、

るんるん気分になった私はそれから手形をよく使用した。そして3ヶ月経った。乱発された手形がどうなったか皆さんの想像にお任せするが、実はこれらの手形、不渡りにならなかったのだ。なぜだか分かりますか？。

そうです、私は今の女房と結婚したのです。そういう訳で私が乱発した手形は全部女房が始末してくれたのです。だから開店以来当社に出入りしている業者などが「ヒロミさんとこは奥さんでもっている」などと言ったりするのだ。ちなみに小切手は一万円札と同じサイズだから財布にすっきり入る.。

だからというわけではないが以前飲み屋に良く行っていた頃、一万円札はかさばるので、十万円の額面の小切手を何枚か持ち歩いていた。ある飲み屋で十万円の小切手を出して「釣りをくれ」といったらとうとうくれなかった。

それどころか、会社までマネージャーが付いて来てしつこく集金していったことを今も覚えている。いつのまに時代が変わったのかそんな私が今頃、日曜のたびに女房から小遣いを五千円位もらっては遊びに出かけるようになってしまった。

お恥ずかしい話だが完全に尻にしかれてしまっているようだ。私って仕事にかけては神経質なんですが、お金の事となるとだめなんですねー。

今頃になってやっと分かってきました。遅すぎましたかねぇ、、、、、、？。


	95 小切手でお釣りをくれ？ちょっと古い話で恐縮だが私の八方破れ人生を知ってもらうのに必要（？）。「ヒロミさんとこは奥さんでもっている、、、、、、、」取引している業者がときどき冗談に言う。はがゆいと思うけど本当だから仕方がないので「もっと他に言い方はないのかね」とか言って笑う。思えばだいぶ前、三晃自動車を開店して半年、友人が信用金庫の支店長に顔がきいていたので、２万円の出資金を払って当座預金を開設し手形と小切手の帳面を手に入れた。開店以来、支払いは全部現金でやってきたが、さあ大変だ。この小切手というものは現金を払わなくても領収書をもらえるというすぐれもの。打ち出の小槌みたいなものだ。なんと役に立つ帳面ではないか。小切手は特に良い、みんな喜んで受け取ってくれる。でもその時の私には銀行に預金残がなくなったらどうなるか、、、、、、など考えもしなかったのだ。月末にもなるとドンドンバンバンと切ってしまった。現金がいらないのだから、当然日銭は余る。だから暗くなったら街の方へ飲みに行きだした。まもなくである。信用金庫の女の子から「ヒロミさん山口商事から小切手が回ってきましたが、残がないのですぐに30万円持ってきてください」とのTELがかかってきた。いきなりそんなことを言われてもお客さんから貰った金は殆んど夜の街に遊びに行って使ってしまっているので、はした金しか残っていない。どうしょうもない。放っておいたら昼過ぎの二時頃信金の支店長が又、ＴＥＬしてきて「ヒロミさん3時までに入金してくれないと不渡りになってしまいますよ。何とかしてください！“」と強い口調で言うではないか。私は「あの――――」と絶句したままだった。とうとう3時になり４時になり夕方になった。私はどうしようもなかった。金はないし、かといってすぐに30万円貸してくれる人もいないし、夜になってしまったが仕事が、たまっていたので小切手の事など、きれいに忘れて仕事をしていた。そして夜になって、又小切手のことを思い出したので夜中に親父のとこへＴＥＬした。「そういうわけで明日の朝までに30万円いるんだ。なんとかしてくれ」「何とかしてくれってお前、この時間じゃどうにもならんから朝になったら農協に行ってみるから朝まで待て」と言う。その日は飲みに行かなかった。小切手が銀行で不渡りになったらどうなるんだろう、、、などと考えたら怖くなったのである。よくテレビドラマなんかで夜中に、ちいさいトラックで夜逃げをするシーンを見ることがある。俺も明日、ああなるのかなーなどと思いながら「えい！！クヨクヨしても仕方がない。信金はヤクザじゃないからまさか殺しに来たりしないだろう」などと思ったら楽になった。すぐに一升ビンを持ち出して一杯飲んだら、連日遅くまで仕事をしていたのがきいたのか、すぐに寝てしまった。翌朝十時に親父からTELがあり「今から30万持って行くから銀行にそういうとけ」と言っていた。それから30分もしないうちに信金の支店長がやってきて少し怒ったような顔で「ヒロミさん今回は私が何とかしておきましたが今度からは預金残を確かめてから発行してくださいよ、、、、」といって帰っていった。私は胸をなでおろし、良かった良かったと一人で喜んでいた。そしてその後は私はむやみやたらに小切手を乱発するのは止めた。小切手の不渡りは大変めんどくさいのである。夜もオチオチ寝ていられない位なのだ（本当はイビキをかいて朝まで良く寝ていたが）そこで私は考えた。小切手だからすぐに不渡りになるのだ。そうだ！もう一冊手形の帳面があったよなー。あれにしょう。あれなら3ヶ月先にならないと不渡りにならない。これに限る、るんるん気分になった私はそれから手形をよく使用した。そして3ヶ月経った。乱発された手形がどうなったか皆さんの想像にお任せするが、実はこれらの手形、不渡りにならなかったのだ。なぜだか分かりますか？。そうです、私は今の女房と結婚したのです。そういう訳で私が乱発した手形は全部女房が始末してくれたのです。だから開店以来当社に出入りしている業者などが「ヒロミさんとこは奥さんでもっている」などと言ったりするのだ。ちなみに小切手は一万円札と同じサイズだから財布にすっきり入る.。だからというわけではないが以前飲み屋に良く行っていた頃、一万円札はかさばるので、十万円の額面の小切手を何枚か持ち歩いていた。ある飲み屋で十万円の小切手を出して「釣りをくれ」といったらとうとうくれなかった。それどころか、会社までマネージャーが付いて来てしつこく集金していったことを今も覚えている。いつのまに時代が変わったのかそんな私が今頃、日曜のたびに女房から小遣いを五千円位もらっては遊びに出かけるようになってしまった。お恥ずかしい話だが完全に尻にしかれてしまっているようだ。私って仕事にかけては神経質なんですが、お金の事となるとだめなんですねー。今頃になってやっと分かってきました。遅すぎましたかねぇ、、、、、、？。コラム一覧に戻る