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治外法権 (ちがいほうけん)なんのことか良くわからない漢字であるがこれは何も日本国民の為にある熟語ではない。山口県岩国市の川下地区には米軍基地が戦後から存在する。 昭和20年より以前、この地は旧日本軍が使用していたというから民間人には前から余りなじみのない土地柄であったようだ。国立病院が横の方にあったと老人が言っていたから全体が軍部の使用ではなかったみたいだ。 米軍基地のことなのだがこの治外法権という法律により成り立っている。早い話日本の国内にありながら日本の法律が効かない場所なのだ。 施設全周を鉄条網で張り巡らしてライフルを持った二人組みの兵隊がその中を四六時中あるきまわっている。入り口にはゲートがあって番兵が24時間きびしく出入りを制限している。 軍人及びその家族、基地施設従業員(日本人が多い)などは定期的に登録しているから出入りは比較的自由だが他の一般人はどのような理由があっても絶対に入れてくれない。 しかし岩国市の一部を占拠している関係上と付近住民に戦闘機の離着陸の際、騒音公害をまき散らしているのを気がねしているためか毎年一回5月には親善のためと称して基地の一部を開放している。 しかしほんの一部である。何しろ基地は飛行場があるくらいだから非常に広いのである。見て歩くだけでも嫌になるほどの広さがある。 これだけの面積を半分でもいいから岩国市に返してくれたら岩国市の税収はもっと潤って岩国市民が楽になるのになぁとか勝手な事を想像している。 この基地内で消費される物品は治外法権によりビール、タバコなどすべてのものに日本の税金が全然かからない。そのためになんでも非常に安い。 (ちなみに私が行く店のビールは税金が70%かかっている)中でも軍人が消費するものにはアメリカの税金さえかかっていないそうでタダみたいに安い。 そう言うわけでそれらの物品が良く市中に流れてくる。兵隊や施設従業員が持ち出すのであるが本当は違反だそうだ。見つかって捕まったら大変な事になると以前兵隊が言っていた。 それでも私の所にちょくちょく色んな物をもってきてくれた。ビール、ピザなどは市内のものと変わらない。税金を払っていない分、もらった分の方が美味い様な気がする私は非国民だろうか? 基地の前には日本一短い国道がある。その両側にインド人経営の色んな店があり何でもあるがこれらには日本の税金がかかっているので面白くない。 面白いものと言えば米軍の払い下げ品を売る店が有って役に立つものも結構ある。例をあげれば赤外線式暗視望遠鏡などは夜間のノゾキなどには使えそうだ。他にも日用雑貨はなんでもあるし安い。 基地には何千人と言う人が自給自足で暮らしているのだからすべての物が必要なのである。電気、水道は岩国市が供給している。岩国にいるアメリカ人は軍の関係か仕事で来ている人が多い。 したがって所持金なども観光客などと違ってあまり持っていない。だから事件などもよく起きる。喧嘩、強盗、強姦も前にあった。変な薬も販売していると聞いた事がある。 先述したがピストルや手榴弾が売りに出たこともあった。現金がない米兵は(金がなければ米兵に限らず日本人でもだが)なんでもやる。米兵は大抵は愉快な奴が多いのだがなかにはいかれた奴もいるようだ。 車に乗っていても金がないため全然保険をかけていない奴がいた。事故で日本人の方が悪い時にはビシバシ権利を主張してくる割には反対の時にはすぐに基地から出てこなくなる。 仕方がないので通訳をつれて基地内に入って弁償について追及しているとしまいには本国に帰ってしまう。こうなるともう軍も取り合ってくれない。日本の自衛隊とは大違いである。 自衛隊は商品代金などを踏み倒している若い隊員がいても上司に相談したら外出禁止などの罰則を適用してでも何とか国民に迷惑をかけないように善処してくれるが米軍にはそうした所がない。 泣き寝入りをしたくない為に一部の人は裁判にかける人もいるそうだがうまくいかない。基地からでてこないからやがて勝訴判決がもらえたとしても取り立てる事ができず、おさえる物もない。 軍から支給されたライフルなどは差押さえが出来ない。アメリカまで差し押さえに行くわけにもいかず仕方がないから裁判官に食ってかかると裁判官は「しょうがないでしょう。 日本は戦争に負けたんですから」と苦虫を噛み潰したような顔でつぶやいたと聞いた事がある。そして泣き泣き諦めるというのが今までだったが近頃になって司令官が「保険をかけてない車は基地外には乗り出してはいけない」というおふれを出してくれたので轢かれ損や当てられ損ということは大分減った。 しかし外人は国が違う為か日本人とは違った考えをもつのがいる。若い娘が友達から借りた車で日本人の車にぶつけてしまった。 当てられた日本人はいくら可愛いいアメリカ娘といっても30万円も凹まされたから必死で請求したがその若いアメリカ娘の話によると「私は正当に、車を借りてその機能にもとずいて正しく運転していただけです。 私に落ち度は全然ありません。強いて言えば私の運転どうりに動かなかったこの車に問題があるのです。不幸な事故ですが私自身には何の関係も有りません。 車の所有者にクレームをつけるならそうしてください。とに角私自身はこの事故には無関係ですから後はよろしく」といって帰ろうとしたが、傍にいた中年の日本人通訳が長い時間かけて事故の過失について一生懸命説明していたが本当に理解したのかどうかわからない。 めったなことでは「ごめんなさい」と言わないアメリカ人の風潮を考慮してもわかりにくい娘だった。若い米兵がいると色んな事が発生する。 寒いからといって国の指定文化財である錦帯橋の橋脚の木材を外して焚き火をしたり、錦川を自転車に乗ったままで二人のりで水深三メートルの川を首まで水につかりながら幅100メートルの川を漕ぎ渡った。 猿飛佐助みたいだと皆ではやしたてていた。桜が咲いている頃だからまだ川は寒いのに酔ってやったことだろうけど日本人もバカな奴がいっぱいいるけどアメリカ人も負けないほどアホな奴がいるものだ。 花見より米兵の自転車に声援を送ったりしていた私達も似たようなものかな、、、、、、、、。
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